top of page
ヘッダーロゴ

革の定義  本文


Leather

 革は非常に身近な素材です。

革は動物の皮膚組織である皮を鞣(なめ)してつくられる素材で、数千年前から人間の生活に活用されてきました。

 一般に、「皮」と「革」は、同じ「かわ」でも鞣す前の状態を「皮」、鞣した後の状態を「革」と呼んで区別します。もしくは、後者は業界では区別のために「かく」と呼ばれることがあります。


 私たちが普段目にするのは鞣されたあとの「革」のほうですが、一口に革といっても、様々な動物の革が、多種多様に加工され商品に形を変えて流通しています。

昨今では、革といわゆる合皮との境界も、肉眼ではかなりあいまいになってきています。

「革とは何か?」と問われても、簡潔に説明するのは難しいのではないでしょうか。


そこで、まず革の定義を確認してみましょう。


ISOによる定義


 実際、革にはきちんとした定義があります。

ISO規格は、スイスにある非政府機関 "International Organization for Standardization(国際標準化機構)" が定める、 国際的な通用規格ですが、革の定義はISO:15115で次のように定められています。

leather (material) hide or skin with its original fibrous structure more or less intact, tanned to be imputrescible, where the hair or wool may or may not have been removed, whether or not the hide or skin has been split into layers or segmented either before or after tanning and where any surface coating or surface layer, however applied, is not thicker than 0,15 mm Note 1 to entry: If the tanned hide or skin is disintegrated mechanically and/or chemically into fibrous particles, small pieces or powders and then, with or without the combination of a binding agent, is made into sheets or other forms, such sheets or forms are not leather. Note 2 to entry: If the grain layer has been completely removed, the term leather is not to be used without further qualification, e.g. split leather.    ISO 15115 Leather Vocabrary

 革の定義は、本文、および二つの注記から構成されています。

本文の要件についてみると、以下のようになっています。

元来の線維構造を、程度の差はあれそのまま維持し、腐らないように鞣した皮をいい、毛を取り除いたものもあれば、そうでないものもあり、鞣しの前後に層状に漉(す)かれたり、分離されたりしたものも含むが、表面をコーティングしたり、層を形成したものの場合は、その厚さが0.15mm以内であるものをいう。

大まかに四つの要件で構成されており、各要件についてみると以下の通りです。

1. 元来の線維構造をそのまま維持線維
2. 毛を取り除いたものもあれば、そうでないものもある
3. 鞣しの前後に層状に漉かれたり、分離されたりしたものも含む
4. 表面をコーティングしたり、層を形成したものの場合は、その厚さが0.15mm以内であるもの

皮革には多くのすぐれた特性があります。

素材として、柔軟性、比較的高い引張強度、特に衝撃荷重に対する抵抗力、引き裂き強度、刺し貫き強度、耐摩耗性、断熱性、吸放湿性などがバランスよくまとまっており、これらの特性を考えると比較的軽量な素材です。


そのため、革の定義の要件は、基本的に革の特性を保持できていることが念頭におかれています。


つづく

bottom of page